外資系コンサルティング会社として根強い人気を誇るBIG4ですが、各社の特徴や年収体系は外部から見ると非常にわかりづらいものとなっています。
本記事ではBIG4に所属する社員・元社員へのインタビューを参考にしながら、各社の特徴と年収について徹底的に解説しています。BIG4について知りたい方は是非最後までご覧ください。

そもそもコンサルBIG4とは?
BIG4とは、会計事務所を出自としてグローバルで活躍する4つの巨大監査法人系ファーム(PwCグループ、デロイトトーマツグループ、EYグループ、KPMGグループ)を指します。
巨大監査法人系ファーム BIG4

PwCグループ

デロイトトーマツグループ

EYグループ

KPMGグループ
BIG4を構成する4社はすべて本社をイギリスに置いている外資系企業です。日本のみならずグローバルに事業を展開しており、世界で最もプレゼンスの高いコンサルグループだと言えます。
BIG4は、どこか一つの領域に特化しているのではなく、幅広い領域でコンサルティング事業を展開しているという点も大きな特徴として挙げられます。
領域 | 詳細 |
---|---|
業務・ビジネスコンサルティング | 業務プロセスの改善や改革を通じて、効率性向上やコスト削減、生産性向上を支援 |
ITコンサルティング | クライアントのIT戦略立案からシステム導入、運用最適化までをサポートし、デジタルトランスフォーメーションを推進 |
監査業務 | 財務諸表や内部統制の信頼性を検証し、透明性を確保するための監査意見を提供 |
法務アドバイザリー | 契約や取引、紛争解決に関する法的リスクを評価し、企業の法務戦略をサポート |
税務アドバイザリー | 税務申告、国際税務対応、組織再編における税務リスクの低減や節税策を提案 |
財務アドバイザリー | M&A、財務DD、企業再生の支援を通じて、財務構造の最適化や成長戦略を推進 |
リスクアドバイザリー | M&Aに特化し、戦略立案からターゲット企業の選定、デューデリジェンス(財務・法務調査)、取引交渉、買収後の統合(PMI)まで一貫した支援を提供 |
戦略コンサルティング | 経営課題に応じた会社全体の成長戦略策定と実行 |
ESGコンサルティング | 環境、社会、ガバナンスに関する課題解決や持続可能性を高める戦略を立案・実行 |
このうち、コンサルBIG4は、巨大監査法人系ファームであるBIG4のうち、コンサルティング業務を担う会社を指します。
具体的には、PwCコンサルティング、デロイトトーマツコンサルティング、EYストラテジー・アンド・コンサルティング、KPMGコンサルティングの4社です。
BIG4 | メンバーファーム |
---|---|
PwCグループ | PwCコンサルティング合同会社(コンサルBIG4) PwC Japan有限責任監査法人(監査) PwC税理士法人(税務) PwCアドバイザリー合同会社(財務) PwC弁護士法人(法務) PwCサステナビリティ合同会社(ESG)など |
デロイトグループ | デロイトトーマツコンサルティング合同会社(コンサルBIG4) 有限責任監査法人トーマツ(監査) デロイトトーマツ税理士法人(税務) デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社(財務) DT弁護士法人(法務) デロイトトーマツサステナビリティ合同会社(ESG) デロイト トーマツ リスクアドバイザリー合同会社(リスク)など |
EYグループ | KPMGコンサルティング株式会社(コンサルBIG4) KPMGあずさ監査法人(監査) KPMG税理士法人(税務) 株式会社KPMG FAS(財務)など |
KPMGグループ | EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(コンサルBIG4) EY新日本有限責任監査法人(監査) EY税理士法人(税務) EY弁護士法人(法務)など |

コンサルBIG4の転職難易度は高い?中途採用は厳しい?
BIG4は転職市場で人気が高く、転職難易度は高いです。一方で、中途採用に積極的であることから、転職できる可能性は十分にあると言えます。

dodaが発表している「転職人気企業ランキング2024」において、BIG4の一角であるデロイト、PwCは、外資系コンサルながらTOP300にランクインしていることから、転職市場における人気は非常に高いと言えます。
- 年収が高いため
- 自分の市場価値を上げることができるため
- ブランド力があるため
一方で、BIG4は中途採用にも積極的です。例えば、デロイト トーマツ グループは、2024年度に2,421人もの中途を採用しています。新卒採用は1,507人なので、新卒の1.5倍以上中途を採用していることが分かります。
BIG4をはじめとしたコンサル会社が採用に積極的なのは、主に国内のコンサルティング市場が拡大しておりコンサルタントの需要が高いことや、コンサル会社が多様なバックグラウンドの人材を欲していることが主な理由です。
- 国内のコンサルティング市場が拡大しているから
- 多様なバックグラウンドの人材を採用することでより良いサービスを提供できるから

中途採用に非常に積極的なのはデロイトトーマツに限りません。PwC、KPMG、EYいずれも中途採用人数が非常に多く、転職難易度は高いながらも十分に転職できる可能性があると言えます。
実際に選考を受ける前に自分の転職可能性を知りたい方は、『転職可能性診断』という無料のツールをチェックしてみてください。
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コンサルBIG4各社の年収を比較
BIG4のコンサル各社(EYストラテジーアンドコンサルティング、デロイトトーマツコンサルティング、KPMGコンサルティング、PwCコンサルティング)について、各社の年収・年収制度を比較します。
なお、各社ともに非上場企業であり正式な開示はないため、タレントスクエアが独自に実施した社員アンケートの結果をもとに年収データを算出しています。
コンサルBIG4の平均年収比較
タレントスクエアが独自に実施した社員アンケートの結果によると、コンサルBIG4の平均年収は1,300-1,500万円程度であることが分かります。
ファーム | 平均年収 |
---|---|
デロイト | 1,422万円 |
EY | 1,393万円 |
KPMG | 1,328万円 |
PwC | 1,316万円 |
経済産業省が発表している賃金構造基本統計調査によると、コンサルタントの平均年収は781万円(平均年齢: 40.5歳)です。

コンサルBIG4の年収体系比較
続いて、各社の年収体系について紹介します。各社ともみなし残業制を採用しており、残業時間の基準が異なります。また、多くのファームではマネージャークラスになると裁量労働制に移行するため、残業代は支給されなくなります。
ファーム | 給料体系 |
---|---|
EY | 基本給 + 残業代(残業50時間超過分のみ) + 賞与(年2回) |
デロイト | 基本給 + 残業代(残業100時間超過分のみ) + 賞与(年2回) |
KPMG | 基本給 + 残業代(残業50時間超過分のみ) + 賞与(年1回) |
PwC | 基本給 + 残業代(残業50時間超過分のみ) + 賞与(年1回) |
また、賞与に関しては下記のな違いがあります。なお、若手の間は賞与の水準にあまり差が出ませんが、マネージャークラス以降になると賞与の割合が大きくなります。
ファーム | 賞与 |
---|---|
EY | 年に2回支給。ボーナス額は合計給料2か月分 |
デロイト | 年に2回支給。ボーナス額は上位10%の優秀層で額面の30%程度、中間層で10%弱 |
KPMG | 年に1回支給。ボーナス額は給料1か月分強 |
PwC | 年に1回支給。ボーナス額は給料3か月分程度 |
コンサルBIG4の役職別年収水準
コンサルBIG4の役職別年収を下記にまとめています。
新卒初年度は550-600万円程度と高水準の年収です。5年目で年収約800-900万円程度、7年目にはどの会社であっても年収1,000万円に到達するケースが多いです。
シニアマネージャーやパートナークラスになると年収は数千万円に達します。特に、シニアパートナーに到達した場合の年収は数千万円台後半にもなります。
各社によって役職等が異なるので単純な横比較はできませんが、年収を知るうえで是非参考にしてください。
EYストラテジー・アンド・コンサルティング
役職 | 年収(万円) | 年次 |
---|---|---|
ビジネスアナリスト | 550~600 | 1~3年目 |
コンサルタント | 650~750 | 2~5年目 |
シニアコンサルタント | 700~900 | 4~7年目 |
マネージャー | 1,000~1,300 | 6~10年目 |
シニアマネージャー | 1,200~1,500 | 10年目~ |
アソシエイトパートナー | 1,600~ | 実力次第 |
パートナー | 2,500~ | 実力次第 |

デロイトトーマツコンサルティング
役職 | 年収(万円) | 年次 |
---|---|---|
ビジネスアナリスト | 650~700 | 1~2年目 |
コンサルタント | 700~900 | 2~6年目 |
シニアコンサルタント | 900~1,200 | 5~9年目 |
マネージャー | 1,200~1,500 | 8~12年目 |
シニアマネージャー | 1,500~2,000 | 10年目~ |
パートナー | 2,500~ | 15年目~ |

KPMGコンサルティング
役職 | 年収(万円) | 年次 |
---|---|---|
ビジネスアナリスト | 650~750 | 1~3年目 |
コンサルタント | 750~850 | 3~5年目 |
シニアコンサルタント | 850~1,100 | 5~8年目 |
マネージャー | 1,100~1,300 | 7~10年目 |
シニアマネージャー | 1,200~1,600 | 10年目~ |
アソシエイトパートナー | 1,500~ | 実力次第 |
パートナー | 2,000~ | 実力次第 |

PwCコンサルティング
役職 | 年収(万円) | 年次 |
---|---|---|
アソシエイト | 550~750 | 1~4年目 |
シニアアソシエイト | 750~1,050 | 3~7年目 |
マネージャー | 1,100~1,500 | 5~10年目 |
シニアマネージャー | 1,500~1,800 | 8年目~ |
ディレクター | 1,800~2,500 | 10年目~ |
パートナー | 3,000~ | 15年目~ |

コンサルBIG4の初任給比較
コンサルBIG4の初任給は下記の通りです。各社とも500万円台後半となっています。
役職 | 初任給 |
---|---|
EY | 550万円 |
デロイト | 580万円 |
KPMG | 570万円 |
PwC | 550万円 |
中途でコンサルBIG4に転職した場合の年収は?
中途でコンサルBIG4に転職したいと思っている場合、「自分の年収がどれくらいになるか」というのは誰しもが気になることだと思います。
実は新卒で入社したときの年収と中途で転職した場合の年収は大きく異なるケースが少なくありません。
中途で入社した場合の具体的な年収を知るためには、転職サイトに掲載されている実際の求人を見ることが最も確実です。口コミサイトやSNSよりも最新かつ正確な情報を知ることができます。
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コンサルBIG4の年収が高い理由
コンサルBIG4は年収水準が高いことは大きな特徴です。それでは、どのような理由で年収が高くなっているか解説します。
コンサルBIG4の年収が高い理由#1:
高度な専門知識が求められる
コンサルBIG4の年収が高い理由として、高度な専門知識が求められるという理由が挙げられます。
- ソリューションに関する多岐に渡る知識
- 論理的思考と問題解決能力
- 説得力のある資料作成力
コンサルタントには、クライアント企業が自社内で解決できない複雑な課題を解決するための高度なスキルと知識が求められます。こうしたスキルには高い報酬が値するため、コンサルタントの給料は高くなります。
コンサルBIG4の年収が高い理由#2:
コンサル間の採用競争が激しい
コンサル間の採用競争が激しいというのも、コンサルBIG4の年収が高い理由の1つです。
国内におけるコンサル市場は年々拡大しています。それに伴ってコンサル各社の採用人数は増えており、コンサル間の採用競争は新卒採用・中途採用の双方で年々苛烈になっています。
コンサル間の採用競争が激しくなると、激しい競争環境の中で優秀なコンサルタントを採用するために、各コンサルが提示する年収が上がっていきます。こうした理由でコンサルタントの給料はますます高くなっています。
コンサルBIG4の年収が高い理由#3:
案件単価が高く利益率も高い
案件単価が高いというのも、コンサルBIG4の年収が高い理由の1つです。
クライアント企業は、経営戦略の見直しやシステム導入など大規模かつ複雑な課題に対してコンサルを起用します。これらのプロジェクトは数千万円から数億円単位の契約が一般的です。
また、コンサルは案件単価が高いだけでなく、工場設備や仕入れなどの原価がかからず利益率の高いビジネスです。
- 製造業・サービス業など: 原料や設備代など多額の原価がかかる
- コンサル: 人件費が費用の大半を占める
したがって、高い案件単価をコンサルタントに還元できるというのもコンサルBIG4の給料が高い理由の1つです。
なお、現在転職活動中の方や1年以内に転職を考えている方は、以下の転職エージェント診断をチェックしてみてください。
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コンサルBIG4の激務度合い
コンサルBIG4は各社とも年収水準が高くなっていますが、激務度合いに関しても比較します。タレントスクエアが独自に実施した社員アンケートの結果によると、コンサルBIG4各社の月間平均残業時間は以下の通りです。
会社名 | 月平均残業時間 | (参考)平均年収 |
---|---|---|
デロイト | 65.7時間 | 1,422万円 |
EY | 60.2時間 | 1,393万円 |
PwC | 55.3時間 | 1,316万円 |
KPMG | 50.7時間 | 1,328万円 |
労働時間は比較的長く、月間残業時間は50-60時間程度の水準であることが分かります。
コンサルBIG4で激務になるタイミング
BIG4では、下記のようなタイミングで激務となってしまう場合があります。
- クライアントの期待値が高く、通常の勤務時間では終わらない量を求められる
- プロジェクトが途中で炎上し、当初予定していた以上の仕事量が必要になる
- プロジェクトの山場や納期の直前で時間的な制限がある
- 人手が足りていない
コンサルBIG4で激務になりやすいタイミング#1:
クライアントの期待値が高く、通常の勤務時間では終わらない量を求められる
クライアントの期待値が高く、通常の勤務時間では終わらない量を求められるというのが、コンサルBIG4で激務になりやすいタイミングの1つです。
コンサル企業では、プロジェクトを受注する際に最終成果物のイメージをある程度把握しています。その成果物を作るのに必要な工数から逆算してプロジェクトメンバーをアサインします。
しかし、クライアントの期待値が予想より高かった場合には、プロジェクト受注時に想定していたメンバーの工数では足りないため、追加で作業が必要となります。追加でメンバーを投入できない場合、労働時間が長くなります。
特に、要求の多い「コンサル使いの荒いお客さん」は一定数存在しており、そのようなクライアントのプロジェクトは激務になりやすいです。
コンサルBIG4で激務になりやすいタイミング#2:
プロジェクトが途中で炎上し、当初予定していた以上の仕事量が必要になる
コンサルBIG4で激務になりやすいタイミングの2つ目は、プロジェクトが途中で炎上することによって仕事量が増える場合です。
コンサルのプロジェクト中では、コンサル側とクライアント側に理解のずれがあったり、プロジェクト期間中にクライアント企業の戦略や外部環境に大きな変化が起きることがあります。
こうなるとプロジェクトに大幅な軌道変更が必要となり、いわゆる「炎上」と呼ばれる状態になって作業工数が爆発的に増えてしまいます。こうなるとコンサルタントは大幅に仕事量が増えてしまいます。
コンサルBIG4で激務になりやすいタイミング#3:
プロジェクトの山場や納期の直前で時間的な制限がある
コンサルBIG4で激務になりやすいタイミングの3つ目は、プロジェクトの山場や納期の直前で時間的な制限がある場合です。
コンサルのプロジェクトでは、多くの場合プロジェクトの締め切りがあります。締め切りまでには成果物を完成させる必要があるため、締め切り直前に作業が終わっていない場合などは激務になりやすいです。
コンサルBIG4で激務になりやすいタイミング#4:
人手が足りていない
人手が足りていないというのも、コンサルBIG4で激務になりやすいタイミングの1つです。
プロジェクトメンバーの突然の離職などがあるとメンバー1人1人にかかる負荷が増えます。通常はプロジェクトメンバーが追加されますが、ファーム全体で人手が足りていないとメンバーの補充が難しいこともあります。
この場合、残ったプロジェクトメンバーの負担は軽減されずに結果として激務な状況が続いてしまいます。このような状態が、コンサルタントの仕事はきついと言われる状態の1つです。
BIG4コンサルの就職難易度は?採用大学・学歴を解説
BIG4コンサルの採用大学は非常に高学歴であり、新卒の就職難易度は非常に高いと言えます。参考までに、BIG4の一角であるPwCコンサルティングの採用大学は下記の通りです。
新卒採用人数は150人~200人程度ですが、ボリュームゾーンの学歴は早慶以上で、採用人数が多い順に上から慶應義塾大学・早稲田大学・東京大学とトップ校が並びます。
明確な学歴フィルターはありませんが、MARCH程度までが実質的な採用のターゲットとなっている非常にレベルの高い企業であることが分かります。
順位 | 出身大学 | 採用人数 |
---|---|---|
1 | 慶應義塾大学 | 83人 |
2 | 早稲田大学 | 59人 |
3 | 東京大学 | 21人 |
4 | 東京工業大学 | 19人 |
5 | 上智大学 | 17人 |
6 | 一橋大学 | 15人 |
7 | 京都大学 | 12人 |
8 | 東北大学 大阪大学 明治大学 | 10人 |
9 | 東京外国語大学 | 8人 |
10 | 筑波大学 横浜国立大学 東京理科大学 同志社大学 | 7人 |
11 | 北海道大学 創価大学 中央大学 | 6人 |
12 | 青山学院大学 | 5人 |
13 | 名古屋大学 国際基督教大学 立命館大学 | 4人 |
