転職市場で高い人気を誇りながら、情報も不足しているFAS(フィナンシャル・アドバイザリー・サービス)。
BIG4の中でもKPMG FASは年収水準が高いと知られていますが、本記事ではKPMG FASの年収について、実際のKPMG FASの社員の口コミをもとに徹底解説しています。
なお、KPMG FASへの転職方法・転職難易度に関しては下記の記事で解説しているので、詳しく知りたい方はあわせてご覧ください。
本記事のポイント
下記が本記事の要約です。詳しく知りたい方は是非ご覧ください。
- KPMG FASの年収は?
-
KPMG FASの年収は役職によって大枠のレンジが決まります。
役職別の年収テーブルは以下の通りです。
役職 年収 年次 アソシエイト 600-1,000万円 1~3年目 シニアアソシエイト 1,000-1,300万円 3~5年目 マネージャー 1,300-1,600万円 6~8年目 シニアマネージャー 1,600-2,000万円 8~10年目 ディレクター 2,000万円- 実力次第 パートナー 4,000万円 実力次第 KPMG FASの役職と年次のイメージ - BIG4 FASの年収を比較するとどうなる?
-
KPMG FASの年収はBIG4の中でもトップクラスの水準です。
BIG4 FASの平均年収をタレントスクエアによる独自調査をもとに比較すると、下記の通りとなっています。
企業名 FASの平均年収 (参考)各社コンサル部門の平均年収 KPMG 1,521万円 1,328万円
(KPMGコンサルティング)デロイト 1,450万円 1,422万円
(デロイトトーマツコンサルティング)PwC 1,425万円 1,316万円
(PwCコンサルティング)EY 1,411万円 1,393万円
(EY S&C コンサル部門)BIG4各社の平均年収 各社の平均年収水準はKPMG>デロイト>PwC>EYという順番になっています。
- 中途でKPMG FASに転職するには?
-
KPMG FASは年収の高さや成長機会の豊富さ、その後のキャリアパスの広がりなどから転職市場で非常に高い人気があります。
一方で、近年では中途採用を積極的に行っており、20代や第二新卒での転職実績も出ているため、正しい選考対策を行うことで十分転職可能だと言えます。
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そもそもFAS業務とは?
FASはFinancial Advisory Serviceの略で、企業の財務やM&Aに関するアドバイスを行う企業のことです。
企業財務と言っても投資銀行のように証券会社としての業務(株式や債券による資金調達のサポート)を担うことができないので企業のM&Aアドバイザリーであったり、事業再生といったコーポレートアクションのアドバイスをするというのが主な業務内容となっています。具体的な業務内容は下記の通りです。
- トランザクション・アドバイザリー・サービス
- M&Aアドバイザリー
- 企業価値評価(バリュエーション)
- PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)
- フォレンジック
- リストラクチャリング(事業再生)
FASについては下記の記事で詳しく説明しているので、知りたい方はあわせてご覧ください。
KPMG FASとはどんな会社?
KPMG FASはBIG4(EYグループ・デロイトトーマツグループ・PwCグループ・KPMGグループ)の一角を担い、英国に拠点を置くKPMGグループのメンバーファームです。
FAS業務(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)を提供している企業です。
KPMGグループはコンサルティング業務を提供するKPMGコンサルティングや、税理士業務を行うKPMG税理士法人、監査業務を行うあずさ監査法人等がありますが、FAS業務を行うのがKPMG FASとなっています。
KPMG FASの業務内容
KPMG FASが提供しているサービスは下記の通りです。1つ1つご紹介します。
- 経営戦略
- M&A/PMI
- 事業再生
- フォレンジック
経営戦略
経営戦略では戦略策定からPMI・事業再編に至る幅広い領域において、下記のようなソリューションを提供しています。KPMGコンサルティングと事業領域が被っているため、KPMGコンサルティングと協同でサービスを提供しています。
- 全社戦略・事業戦略立案
- 事業ポートフォリオの組み換え
- 新規事業開発
- コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)の推進支援
- 海外進出支援
- M&A戦略の立案
- ビジネスデューデリジェンス
- 技術・知的財産デューデリジェンス
- デジタル戦略
- オペレーション戦略・改善
- カスタマー・ブランド・マーケティング・アドバイザリー(CBMA)
- 価格戦略の最適化
- 事業計画、オペレーティング/財務モデル作成支援
- 不動産関連アドバイザリー
M&A/PMI
M&A/PMI領域では、案件オリジネーションからM&Aのプロセス設計、デュー・ディリジェンス、M&Aの進行、バリュエーション、契約書交渉クロージング、さらには取引後のポストM&A統合プランニングに至る幅広い領域において、M&Aにかかわるアドバイスを行っています。
- バイサイドM&Aアドバイザリー
- セルサイドM&Aアドバイザリー
- デューデリジェンス
- バリュエーション(取引目的・会計目的)
- 統合支援(PMI)アドバイザリー
- 買収後のリスク診断支援
- バリューチェーン統合
- IT/オペレーション統合
- 資金調達アドバイザリー
- インフラ・資源プロジェクトアドバイザリー
投資銀行のM&Aアドバイザリーと業務領域は被っていますが、投資銀行のようにM&Aに付随した資金調達を担うことはできず、あくまでM&Aアドバイザリーのみを担うこととなります。
事業再生
リストラクチャリング(事業再生)では、経営破綻しているまたは破綻が近い企業に対して、中長期的に事業再生のアドバイスを行います。事業計画の策定からはじまり、銀行からの融資・資産の売却・経営オペレーションの改善等、統合的なサポートを提供するのが仕事です。
- 経営不振企業・事業のデュー・ディリジェンス
- 資金繰り管理・安定化支援
- 再建計画策定・実行・モニタリング支援
- 利害関係者との交渉
- 運転資本最適化支援など
フォレンジック
フォレンジックチームは、不正の予防・早期発見・対処(不正調査・危機対応・訴訟・仲裁支援等)を専門としている、不正・不祥事に関するプロフェッショナルです。競争法(独占)、汚職等企業のあらゆる不正に関する調査を行います。例えば下記のようなサービスが提供メニューとなっています。
- 不正会計の調査
- インサイダー取引の調査
- サイバー攻撃に関する調査
- 不正リスクマネジメント体制の構築支援
- M&Aにおける不正リスク発見支援など
KPMG FASの転職難易度は?
KPMG FASは年収の高さや成長機会の豊富さ、その後のキャリアパスの広がりなどから転職市場で非常に高い人気があります。
一方で、近年では中途採用を積極的に行っており、20代や第二新卒での転職実績も出ているため、正しい選考対策を行うことで十分転職可能だと言えます。
実際に選考を受ける前に合格可能性を知りたい方は、『転職可能性診断』という無料のツールをチェックしてみてください。
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高年収難関企業
三菱商事 / キーエンス / 電通 / 野村総合研究所 / リクルート / エムスリー / SONY / ベイカレント / M&A総合研究所 など
ホワイト安定企業
NTTドコモ / 味の素 / 明治 / 日本たばこ産業 / 富士フイルム / 東京海上日動火災保険 / 任天堂 / サントリー / 花王 など
外資系・グローバル企業
Google / マッキンゼー / ゴールドマンサックス / P&G / アマゾン / PwC / アクセンチュア / セールスフォース など
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口コミから見るKPMG FASの平均年収と年収ランキング
KPMG FASは年収に関する情報を公開していいません。タレントスクエア独自の調査によれば、KPMG FASの平均年収は1,521万円となっています。
国税庁が開示している日本人の平均年収が461万円であることから、KPMG FASの平均年収は日本人全体の平均よりも有意に高いと言えます。
経済産業省が発表している賃金構造基本統計調査によると、コンサルタントの平均年収は781万円(平均年齢: 40.5歳)です。
また、マイナビエージェントが公表している業種別平均年収ランキングによると、コンサルティングファーム・シンクタンクの平均年収は635万円となっており、KPMG FASの平均年収はコンサルティングファーム・シンクタンク全体の平均年収よりも高い水準になっています。
BIG4の中で比較すると下記の通りとなっており、KPMG FASの水準はBIG4の中でも非常に高い水準であることが分かります。
企業名 | FASの平均年収 | (参考)各社コンサル部門の平均年収 |
---|---|---|
KPMG | 1,521万円 | 1,328万円 (KPMGコンサルティング) |
デロイト | 1,450万円 | 1,422万円 (デロイトトーマツコンサルティング) |
PwC | 1,425万円 | 1,316万円 (PwCコンサルティング) |
EY | 1,411万円 | 1,393万円 (EY S&C コンサル部門) |
KPMG FASの社員口コミ
コンサルタント・監査・士業系職種
33歳 男性 中途入社
KPMG FASの役職と評価制度
KPMG FASのコンサルタントの役職は下から順に「アソシエイト」「シニアアソシエイト」「マネージャー」「シニアマネージャー」「ディレクター」「パートナー」という6段階に分かれています。
- アソシエイト
- シニアアソシエイト
- マネージャー
- シニアマネージャー
- ディレクター
- パートナー
それぞれの役職に昇進するまでの年次のイメージは以下の通りです。
役職 | 年次 |
---|---|
アソシエイト | 1~3年目 |
シニアアソシエイト | 3~5年目 |
マネージャー | 6~8年目 |
シニアマネージャー | 8~10年目 |
ディレクター | 実力次第 |
パートナー | 実力次第 |
関与した案件のうち35時間以上携わった案件について担当のマネージャーから評価を受け、その評価をもとに昇進が決まります。評価が悪くなければ基本的に昇進することが可能となっています。平均的に2-3年で次の役職に到達します。
KPMG FASの給与体系
KPMG FASの給与体系は基本給+残業代+ボーナスです。基本給は役職別にレンジが決まっています。
KPMG FASにおける年収 = 基本給 + 残業代 + 賞与
KPMG FASの残業代
KPMG FASでは残業代が支給されています。新卒募集要項では基本年俸が465万円ですが、月に20時間残業した場合は年俸が539万円、30時間残業した場合は577万円となります。
のちほどご説明しますが、KPMG FASは平均残業時間が60時間程度となっているため、残業代は200万円程度になると想定されます。
なお、マネージャー以上になると裁量労働制となるため、残業代は基本給の中に含まれるとして個別には支給されなくなります。
KPMG FASのボーナス・賞与
KPMG FASのボーナス・賞与は年に1回支給されます。KPMGコンサルティングではボーナスの割合が低いことが特徴となっておりますが、KPMG FASでは賞与の割合が高くなっています。
賞与は業績にもよりますが、基本給の30%程度から50%程度となっています。
評価制度に関して言えば、関与した案件のうち35時間以上携わった案件について担当のマネージャーからの評価をもとに半年に1回開かれる評価会議で評価が決定されます。
KPMG FASの役職別給与テーブル・年収推移
KPMG FASの年収は役職によって大枠のレンジが決まります。
役職 | 年収 | 年次 |
---|---|---|
アソシエイト | 600-1,000万円 | 1~3年目 |
シニアアソシエイト | 1,000-1,300万円 | 3~5年目 |
マネージャー | 1,300-1,600万円 | 6~8年目 |
シニアマネージャー | 1,600-2,000万円 | 8~10年目 |
ディレクター | 2,000万円- | 実力次第 |
パートナー | 4,000万円 | 実力次第 |
KPMG FASの年収はBIG4の中でもトップクラスの水準です。外資系投資銀行には劣るものの、戦略系コンサルティングファームと同等以上の給料水準となっています。
中途でKPMG FASに転職した場合の年収は?
中途でKPMG FASに転職したいと思っている場合、「自分の年収がどれくらいになるか」というのは誰しもが気になることだと思います。
実は新卒で入社したときの年収と中途で転職した場合の年収は大きく異なるケースが少なくありません。
中途で入社した場合の具体的な年収を知るためには、転職サイトに掲載されている実際の求人を見ることが最も確実です。口コミサイトやSNSよりも最新かつ正確な情報を知ることができます。
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転職活動を始める前から無料アカウントを作成して年に数回ログインしておくだけで、将来転職する際に情報が集まりやすく非常に有利になるのでおすすめです。
KPMG FASの初任給
KPMG FASは新卒募集要項で基本給を提示しています。新卒募集要項によれば、初任給は下記の通りとなっています。
- 基本年俸 465万円~(残業代別途支給/固定残業代無)
- 年収例:
- 残業20時間/月 x 12ヶ月 の場合 539万円~(業績賞与別途支給)
- 残業30時間/月 x 12ヶ月 の場合 577万円~(業績賞与別途支給)
上記に加えて業績賞与が支給されるので、新卒での年収水準は600万円以上となることが想定されます。
KPMG FASの評価制度は?
評価制度に関して言えば、関与した案件のうち35時間以上携わった案件について担当のマネージャーからの評価をもとに半年に1回開かれる評価会議で評価が決定されます。
発言力のあるマネージャーからの評価が高ければ評価も高まりやすいという側面もある模様です。
マネージャー以上になると、案件によるパフォーマンスではなくどれだけの売り上げをファームにもたらしたかによって評価や賞与が決まってくるという特徴があります。
KPMG FASの福利厚生
KPMG FASは外資系ということもあり、それほど福利厚生は充実していません。基本給が高い分、それで福利厚生がまかなわれているという考え方を取っています。
KPMG FASが発表している福利厚生は下記の通りとなっています。
- 各種社会保険完備(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険)
- 公認会計士企業年金基金
- 健康保険組合カフェテリアプラン
- マッサージルーム(東京事務所隣接ビル内、施術費用:30分、500円)
- 育児・介護短時間勤務
未経験者がKPMG FASに転職するために
未経験者であっても、中途であれば前職での実績次第で十分に転職できる可能性があります。しかしながら、独学でFASの選考を受けても内定を得ることができる確率は低いと言わざるを得ません。
KPMG FASは志望動機や面接において特別な対策が必要です。特に、投資銀行等と比較されるFASはなぜFASなのかをしっかり説明できるようにしておく必要があります。
対策なく選考に応募しても、特に未経験だと選考に通過できる確率は限りなく低くなります。未経験であってもFASに転職するためには、FAS業界をよく知るプロフェッショナルからサポートを受けるのがベストです。
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KPMG FASは激務?残業時間は?
BIG4の中で最も年収水準の高いKPMG FASですが、残業時間も非常に長い水準となっています。タレントスクエア独自の調査によれば、KPMG FASの平均残業時間は69.4時間と長時間になっています。
BIG4間で比較すると、KPMG FASは平均年収が高いものの、それに比例して月残業時間が長くなっていることが分かります。労働時間分の対価は支払われていますが、激務を覚悟する必要はありそうです。
(万円) | FASの平均年収 | 平均残業時間 |
---|---|---|
KPMG | 1,521万円 | 69.4時間 |
デロイト | 1,450万円 | 60.5時間 |
PwC | 1,425万円 | 55.3時間 |
EY | 1,411万円 | 54.7時間 |
タレントスクエアの口コミを見ても労働時間は非常に長くワークライフバランスが悪いという評価となっています。
コンサルタント / 中途入社 / 男性 / 退職済み(2020年以降) / 在籍期間 5年未満
タレントスクエア – KPMG FASの口コミ
パートナー、マネージャー、プロジェクトによって違うが、ワークライフバランスの概念は存在しない。勤務が日を跨がないことはほとんどない。プロジェクトによっては二時間睡眠、土日も仕事が1ヶ月続くことも多い。
激務な一方で、案件が落ち着いている場合は労働時間が短くなる等、メリハリのある働き方ができるという口コミもあります。
コンサルタント / 中途入社 / 男性 / 在籍中(2022年時点) / 在籍期間 5年未満
タレントスクエア – KPMG FASの口コミ
労働時間は基本的に長く、深夜労働が多いのは事実だが、フレックスタイムの導入や、プロジェクト間の休暇の存在等、長い労働時間を調整しようとする制度はある。
案件次第だが、落ち着いているタイミングにおいてはプライベートの充実を図ることも可能。
KPMGグループの業績
KPMGグループの2022年度(2021年10月~2022年9月)の業績は、グループ全体で売上高4.5兆円、うちコンサルティングとFASを含むアドバイザリー部門の売上高が2.0兆円となっています。
国内のKPMGコンサルティングやKPMG FASについては業績情報が公表されていません。
ファンクション | 売上高(米ドル) | 売上高(日本円) |
---|---|---|
アドバイザリー(Advisory) | 154.4億ドル | 2.01兆円 |
監査(Audit) | 118.5億ドル | 1.54兆円 |
税務・法務(Tax & Legal Services) | 73.5億ドル | 0.96兆円 |
合計 | 346.4億ドル | 4.50兆円 |
KPMG FASの採用大学・学歴・入社難易度
新卒採用におけるKPMG FASの採用大学は公開されていませんが、タレントスクエア独自の調査によればKPMG FASの内定者ノバックグラウンドで多いのは、東京大学・京都大学・一橋大学などのトップの国立大学と、慶應義塾大学・早稲田大学などトップの私立大学です。また、海外大学出身者もいます。
新卒就活における採用数は15~20人程度と少なく、高学歴な学生を中心に応募数が多いため、入社難易度は非常に高いです。効率性の観点からある程度の学歴フィルターは用意されていると考えるべきでしょう。
自分がKPMG FASで通用するかを知るためにやるべきこと
中途でKPMG FASに転職したいと思っても、「果たして自分が通用するのか」「激務で体調を壊すのではないか」と悩んでしまう方もたくさんいらっしゃると思います。
自分自身がKPMG FASで通用するかを知るためには、FAS業界をよく知るプロフェッショナルに聞くのがベストです。
FASへの転職者を何人もサポートしてきた転職エージェントは、「どのような人が通用するのか、活躍できるのか」ということに関するナレッジを豊富に保有しており、現職の状況やご自身の性格をベースに業界・企業への適性を診断してくれます。
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