FASとは？【BIG4の年収・実績・激務度ランキング】を解説

転職市場で高い人気を誇りながら、情報も不足しているFAS（フィナンシャル・アドバイザリー・サービス）。

本記事ではFASとはどのようなサービスを提供している会社かご説明するとともに、日本を代表するFAS各社の年収や実績・激務度合いに関するランキングを解説します。

本記事のポイント

そもそもFASとは？

FASはFinancial Advisory Serviceの略で、企業の財務やM&Aに関するアドバイスを行う企業のことです。

企業財務と言っても投資銀行のように証券会社としての業務（株式や債券による資金調達のサポート）を担うことができないので企業のM&Aアドバイザリーであったり、事業再生といったコーポレートアクションのアドバイスをするというのが主な業務内容となっています。具体的な業務内容は下記の通りです。

FASの具体的な業務内容

• トランザクション・アドバイザリー・サービス
• M&Aアドバイザリー
• 企業価値評価（バリュエーション）
• PMI（ポスト・マージャー・インテグレーション）
• フォレンジック
• リストラクチャリング（事業再生）

BIG4 FASの年収を比較するとどうなる？

BIG4 FASの平均年収をタレントスクエアによる独自調査を基に比較すると、下記の通りとなっています。

企業名	FASの平均年収	（参考）各社コンサル部門の平均年収
KPMG	1,521万円	1,328万円 （KPMGコンサルティング）
デロイト	1,450万円	1,422万円 （デロイトトーマツコンサルティング）
PwC	1,425万円	1,316万円 （PwCコンサルティング）
EY	1,411万円	1,393万円 （EY S&C コンサル部門）

各社の平均年収水準はKPMG＞デロイト＞PwC＞EYという順番になっています。コンサル業務の平均年収と比べると、FASの年収水準は非常に高い水準となっています。

中途でBIG4 FASに転職するには？

BIG4 FASは年収の高さや成長機会の豊富さ、その後のキャリアパスの広がりなどから転職市場で非常に高い人気があります。

一方で、近年では中途採用を積極的に行っており、20代や第二新卒での転職実績も出ているため、正しい選考対策を行うことで十分転職可能だと言えます。

正しい選考対策の方法が分からない場合や、キャリアアップしたいけど何から始めていいか分からない場合は、転職のプロである転職エージェントに一度相談してみましょう。

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そもそもFASとは？

そもそもFAS企業とはどのような業務を行っているのでしょうか。FASは「Financial Advisory Service」の略で、企業の財務やM&Aに関するアドバイスを行う企業のことです。

企業財務と言っても投資銀行のように証券会社としての業務（株式や債券による資金調達のサポート）を担うことができないので企業のM&Aアドバイザリーであったり、事業再生といったコーポレートアクションのアドバイスをするというのが主な業務内容となっています。具体的な業務内容は下記の通りです。

BIG4 FASの転職難易度は？

BIG4 FASは年収の高さや成長機会の豊富さ、その後のキャリアパスの広がりなどから転職市場で非常に高い人気があります。

一方で、近年では中途採用を積極的に行っており、20代や第二新卒での転職実績も出ているため、正しい選考対策を行うことで十分転職可能だと言えます。

FASの具体的な業務内容①:
トランザクション・アドバイザリー・サービス

トランザクション・アドバイザリー・サービス（通称TAS）では、主に財務デュー・ディリジェンス（財務DD）を行っています。財務DDとは、企業を買収・売却する際に対象会社に財務面で問題がないか、税務モデリング等を駆使して精査することを言います。

具体的に言えば、対象企業の運転資本や負債の状況、収益力、リスクといった項目を洗い出し、買収・売却を実際に行うかの意思決定における判断材料にしたり、判明した内容を材料に契約書交渉を行うことが目的となっています。

M&Aのプロセスに入り相手方と同意したら、守秘義務契約（NDA）を締結の上で相手方から情報（公には未公開のものがほとんど）を取得し、その資料を基に財務モデリングの作成を通じて報告書を作成、クライアントに報告会で報告するという流れです。

FASの具体的な業務内容②:
M&Aアドバイザリー

M&Aアドバイザリーでは、企業がM&Aをする際に下記のような業務を行います。M&Aの買い手または売り手について、M&Aを執行する際のアドバイザリー業務を担います。

投資銀行のM&Aアドバイザリーと業務領域は被っていますが、投資銀行のようにM&Aに付随した資金調達を担うことはできず、あくまでM&Aアドバイザリーのみを担うこととなります。

また、投資銀行と異なり、グループ会社に税理士法人や会計士法人があるため、各所と連携しながら税務や会計に関するアドバイスができるという点が投資銀行との差別化点となっています。

FASの具体的な業務内容③:
企業価値評価（バリュエーション）

企業価値評価（バリュエーション）では、財務モデリングを用いて企業の価値を評価しクライアントに提供するほか、減損テスト（資産のキャッシュフローを分析し、帳簿価格分の価値があるか、減損する必要はないかを判断）や加重平均資本コスト（WACC）の計算、PPA（買収後の無形固定資産・のれんの計算）といった業務が中心となっています。

M&Aアドバイザリー・サービスの一環としてバリュエーションをすることもあれば、監査業務の一環として減損テストを行うことがあったりと、FASやグループ内の他組織と連携しながらサービスを提供するというのが企業価値評価の仕事内容です。

FASの具体的な業務内容④:
PMI（ポスト・マージャー・インテグレーション）

PMI（ポスト・マージャー・インテグレーション）では、企業の買収後の統合作業に関するアドバイスを行います。買収後の組織体制や人事制度の統合に関するアドバイスが中心なので、財務スキルというよりはコンサルタント的なスキルが必要となる業務です。

FASの具体的な業務内容⑤:
フォレンジック

フォレンジックでは、不正の予防・早期発見・対処（不正調査・危機対応・訴訟・仲裁支援等）を専門としている、不正・不祥事に関するプロフェッショナルです。競争法（独占）、汚職等企業のあらゆる不正に関する調査を行います。

FASの具体的な業務内容⑥:
リストラクチャリング（事業再生）

リストラクチャリング（事業再生）では、経営破綻しているまたは破綻が近い企業に対して、中長期的に事業再生のアドバイスを行います。事業計画の策定からはじまり、銀行からの融資・資産の売却・経営オペレーションの改善等、統合的なサポートを提供するのが仕事です。

資産の売却においてはバリュエーションサービスと、経営オペレーション改善に関してはグループ内のコンサルティング企業と連携するように、事業再生単独でサービスを提供するのではなくグループ内の様々な機能を巻き込みながら収益化するという特徴を持っています。

コンサル・投資銀行・監査法人・会計事務所との違い

FASへの転職を検討する場合、コンサル・投資銀行ではなくてなぜFASなのかということに対して答えを持っておく必要があります。

投資銀行とFASの違い

FASはファイナンス機能（株や債券の引き受け）ができないため、M&Aアドバイザリーに特化しているという点で投資銀行と異なっています。一方で、M&A関連事業に関しては事業領域が被っているので、投資銀行は競合企業となります。

一方で、FASは監査法人や税理士法人と連携してサービスを提供できるという点も投資銀行との違いです。投資銀行は監査機能や税務アドバイザリー機能が無いため、M&Aアドバイザリーと資金調達に限ったアドバイスになりがちですが、グループ会社に監査法人や税理士法人を持つFASは、関連企業と協力しながらワンストップでソリューションを提供できるという点が違いとなっています。

コンサルとFASの違い

FASは広義のコンサルティングファームの1種ですが、財務やM&Aに特化しており、オペレーション改善等にはかかわらないという点で業務コンサルティングファーム等とは異なります。一方で、業務改善系のコンサルや戦略コンサルはバリュエーション等を行いません。

監査法人・会計事務所とFASの違い

監査法人・会計事務所は企業の会計・監査に関する包括的なサービスを提供します。そのためFAS業務を提供している監査法人や会計事務所もありますが、FASは監査業務や会計業務は行わず、M&Aや事業再生に特化しているという点が異なります。

未経験者がFASに転職するために

未経験者であっても、中途であれば前職での実績次第で十分に転職できる可能性があります。しかしながら、独学でFASの選考を受けても内定を得ることができる確率は低いと言わざるを得ません。

FASは志望動機や面接において特別な対策が必要です。特に、投資銀行等と比較されるFASはなぜFASなのかをしっかり説明できるようにしておく必要があります。対策なく選考に応募しても、特に未経験だと選考に通過できる確率は限りなく低くなります。

未経験であってもFASに転職するためには、FAS業界をよく知る転職エージェントからサポートを受けるのがベストです。

日本のFAS企業・業界地図（BIG4系・独立ブティック系・税理士／会計事務所系）

日本で活動する主なFAS企業について紹介します。FAS企業は大きく分けて、BIG4系と独立系に分けられます。

日本におけるFAS①:
BIG4系

BIG4とはグローバルで活躍する4つの巨大監査法人系ファームのことです。具体的には、アーンスト・ヤング（EY）グループ／デロイト トーマツ グループ／KPMGグループ／PwCグループの4つのグループのことを指しています。

BIG4は総合系コンサルティングファームとして業務コンサルティングからFAS業務まで幅広い業務を手掛けており、下記のグループ企業がFAS業界を手掛けています。

日本におけるプレゼンスは非常に高く、またグループ全体で協力しながらワンストップでソリューションを提供できることが強みとなっています。

日本におけるFAS②:
独立ブティック系・税理士／会計事務所系

独立ブティック系は、BIG4のようなグローバル組織に属しているわけではなく、独立してサービスを提供しています。投資銀行のバンカーが独立したようなファームから、東証市場に上場しているようなファームまで様々です。下記のようなファームが具体例となっています。

なお、FAS業務だけではなく業務コンサルティング等を行っている場合もあります。

また、会計や税務の知識を活用してFAS業務を提供することができるため、税理士事務所や会計事務所がFAS業務を行っている場合もあります。

BIG4 FASの年収ランキング

本項目ではBIG4 FASの年収水準を比較・解説いたします。BIG4 FASの年収は外資系投資銀行には劣りますが、国内の事業会社や金融機関、総合系コンサルティングファームと比べると高い年収水準となっています。

BIG4 FAS企業は非上場で年収に関する公開情報はないため、社員口コミに基づいて推定したデータをもとに解説します。

平均年収の比較（年齢別）

BIG4 FASの平均年収をタレントスクエアによる独自調査を基に比較すると、下記の通りとなっています。なお、EYに関してはFAS個別のデータがないため、あくまでご参考の数字です。

各社の平均年収水準はKPMG＞デロイト＞PwC＞EYという順番になっています。コンサル業務の平均年収と比べると、FASの年収水準は非常に高い水準となっています。

各社の初任給比較

各社の初任給を比較すると、下記の通りとなります。（大学卒の場合。基本給ベース）

各社ともに500万円から600万円程度の範囲に収まっていることが分かります。

役職	初任給
EY	550万円
デロイト	500万円（月残業33時間）
KPMG	577万円（月残業30時間）
PwC	550万円

中途でFASに転職した場合の年収は？

中途でFASに転職したいと思っている場合、「自分の年収がどれくらいになるか」というのは誰しもが気になることだと思います。

BIG4 FASの実績ランキング

一般に公開できるFASの実績はM&Aアドバイザリーに関する手数料のみです。

ブルームバーグ社が発表した2021年のM&A財務アドバイザー日本関連ランキングを見ると、M&A財務アドバイザー 日本関連案件 手数料金額順ランキングではPwCアドバイザリーが9位、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーが13位にはいっています。

KPMG、EYはランク圏外となっているため詳細な順位はわかりませんが、手数料金額順ではPwC＞デロイト＞KPMG・EYという順番であることが分かります。

案件数順でみると、デロイトは3位、PwCは6位、EYは15位、KPMGは17位となっており、案件数順ではデロイト＞PwC＞EY＞KPMGという順番であることが分かります。

EY、KPMGは日本において相対的に新しい立場となっており、PwCやデロイトといった日本に長く根付いているFASの方がプレゼンスは高いということが分かります。

もっともこうしたリーグテーブルはあくまで公表案件のみがベースとなっているため、非公開案件の手数料水準はこうしたランキングに掲載されません。従って各社ともに上記よりも案件数は実際にもっと多いという点に留意するべきです。

BIG4 FASの激務度合いランキング

BIG4コンサルは各社とも年収水準が高くなっていますが、激務度合いに関しても比較します。比較に際しては、同様にタレントスクエアによる独自調査を参考にしています。

KPMGはFASの中で年収水準が高いとご紹介しましたが、残業時間も非常に長いことが特徴です。

FASが激務な理由

FASが激務になる理由は主に下記の4つです。

FASが激務な理由①:
一人当たりの業務量が多い

FASでは、一人が複数の案件・提案活動に入るマルチアサインが当たり前なため、一人一人がこなす業務量が非常に多いことが特徴です。

特に若手の間は、2-3個ほどのプロジェクト・提案活動にアサインされるうえ、上司から仕事を振られやすいため、常に膨大な量の仕事を抱えることになります。

シンプルに業務量が多いため、激務になりやすいというのが実態です。

FASが激務な理由②:
上司が平日忙しいため、深夜や土日に上司とコミュニケーションを取ることになりがち

FASでは、日中は接待やアポで上司の時間が取れないため、上司との相談や資料のレビュー・修正作業は深夜や土日にずれ込むことが多い傾向にあります。

裏を返せば、FASにおいては年次が上がったとしても激務です。

FASが激務な理由③:
案件や提案依頼（RfP）の場合は迅速な対応が求められる

案件や提案依頼の場合、土日関係なく締め切りがタイトになりがちです。案件や提案依頼は重要性が非常に高いため、どうしても深夜や土日に対応して締切に間に合わせる必要が出てきます。

案件が炎上したり、提案依頼を受領した場合、突発的に忙しくなり、暇だったはずの土日が潰れてしまうということも多々あります。

自分がFASで通用するかを知るためにやるべきこと

中途でFASに転職したいと思っても、「果たして自分が通用するのか」「そもそも選考に受からないのではないか」と悩んでしまう方もたくさんいらっしゃると思います。

自分自身がFASで通用するかを知るためには、FAS業界をよく知るプロフェッショナルに聞くのがベストです。

FASへの転職者を何人もサポートしてきた転職エージェントは、「どのような人が通用するのか、活躍できるのか」ということに関するナレッジを豊富に保有しており、現職の状況やご自身の性格をベースに業界・企業への適性を診断してくれます。