辞めた会社に戻る出戻り転職とは？メリットや後悔する理由を解説

いったん会社を辞めて、元居た会社に再度転職して戻ることを出戻り転職と言います。本ページでは辞めた会社に戻る出戻り転職について、出戻り転職のデメリット・後悔する理由を解説や出戻り転職に失敗・成功する人の特徴などについて網羅的に解説します。

そもそも「出戻り転職」とは？

元々いた会社から転職し、転職先を辞めて再び元々いた会社に転職することを「出戻り転職」と言います。

他社で働いてみて、「やっぱり前の会社の方がいい」と感じ、出戻り転職をするのは一般的となりつつあります。

マイナビによれば、人事担当者に「社内に出戻り転職によって戻ってきた社員はいますか？」というアンケートをしたところ、49%の会社が「出戻り転職の社員はいる」と回答しました。半数近くの会社に出戻り転職の社員がいることを示しています。

出戻り転職のデメリット・後悔する理由

出戻り転職のデメリット・後悔する理由は下記の様なものが挙げられます。出戻り転職のデメリット・後悔する理由を順に解説します。

出戻り転職のデメリット・後悔する理由#1:
職場で気まずいと感じる

出戻り転職をする際、多くの人が「一度辞めた会社に戻ることへの気まずさ」を感じることがあります。

転職をした際に前職を裏切ったように感じ、裏切った会社にまた戻ることで気まずさを感じるかもしれません。

一度会社を辞めたのに「もう一度働きたい」と申し出るのは、自分勝手で都合がよいと思われるのではないかと気まずさを感じることもあります。

再びチームの一員として受け入れられるか、以前のように働けるかという不安も伴い、こうした不安もあいまって会社でなんとなく気まずいと感じることがあります。

出戻り転職のデメリット・後悔する理由#2:
また転職するのではないかと思われる

出戻り転職のデメリット・後悔する理由として、周囲から「また転職するのではないか」と疑われることも挙げられます。一度会社を去った人が戻ってくると彼らの定着性に対する疑問が生じがちです。

一度転職するという大きな決断をしている経歴があるため、再度転職して会社を去っていくのではないかと思われることがあります。

このような印象は同僚や上司だけでなく、自身のキャリアにも影響を及ぼすことがあります。出戻り転職者に対して、重要なプロジェクトやキャリアアップの機会を渋る傾向があります。

出戻り転職のデメリット・後悔する理由#3:
転職に失敗したと思われる

転職に失敗したと思われるのも、出戻り転職のデメリット・後悔する理由の1つです。

元の会社に戻ることは、新しい環境に適応できなかったかのように受け取られることがあります。

転職したのに結局出戻りしたというのは、「転職に失敗した」わけでなく外の会社で働いてみた結果今の仕事が最適という考えに至ったということもあります。

ただし、ほかの社員はそうした事情について認識しているわけではないので「転職に失敗した」という印象を抱かれてしまうことがあります。

出戻り転職のデメリット・後悔する理由#4:
出戻り転職を歓迎しない社員もいる

出戻り転職のデメリット・後悔する理由として、出戻り転職を歓迎しない社員もいるという理由も挙げられます。

社員によっては一度転職で会社を辞めた人を「裏切者」のように感じ、出戻り転職してきた社員に対して快い反応を示さない場合があります。

特に、退職時にトラブルを起こしてしまった際はこの傾向が顕著です。退職時のトラブルで迷惑をかけられた社員は出戻り転職に対して懐疑的に感じることがあるでしょう。

また、出戻り転職者が以前と同じ役職や責任を担う場合、他の社員が不公平と感じることもあります。その結果、職場の士気に影響を及ぼすこともあり得ます。

出戻り転職のデメリット・後悔する理由#5:
職場の雰囲気が変わってしまっている

出戻り転職をすると以前勤めていた職場の雰囲気が大きく変わっていることに気づくことがあります。

人事異動や組織の変更、新たな方針導入などにより、かつての職場とは異なる環境に変わっており、こうした職場の雰囲気に適応できないと出戻り転職に対して後悔することに繋がります。

変化した職場の文化に再適応することは予想以上に難しい場合があります。特に長期間離れていた場合は以前の経験や知識が現在の職場に即応しないことも少なくありません。

在籍時に懇意にしていた社員が既にいなくなっており、人間関係の構築が難しい可能性もあります。

それだけでなく、上司や管理職層が大きく変わっていると仕事の進め方なども変わっていることがあります。コンプライアンスが厳しくなっていたり、推奨される仕事の進め方が異なっていると適応が難しくなってしまいます。

出戻り転職のデメリット・後悔する理由#6:
以前と同じような業務に就くことができない

出戻り転職者が直面する一つの問題は、元の職場で以前と同じ役割や業務に就けないことです。

職場の状況や要員構成が変わっているため以前のポジションが既に埋まっていることがあります。

また、会社が新しい方針や戦略を採用している場合以前の業務内容が変化している可能性もあります。

これにより、出戻り転職者は新たなスキルや知識を身につける必要が出てくることがあります。それだけでなく以前の業務に魅力を感じていた場合は、予想とのギャップに苦しむ可能性があります。

このような状況は、出戻り転職者にとって期待外れを感じさせる原因となり得ます。以前と同じ業務に従事することができない場合、新しい環境への適応が求められることになります。

出戻り転職のメリットを解説

出戻り転職のデメリット・後悔する理由についてご説明してきましたが、次は出戻り転職のメリットについて解説します。

出戻り転職のメリット#1:
仕事を一から覚える必要がなく即戦力として働くことができる

出戻り転職の大きなメリットの一つとして、仕事を一から覚える必要がなく即戦力として働くことができるという点が挙げられます。

出戻り転職では以前いた会社に戻ることとなるため、その会社の業務内容や必要なスキルを把握したうえで入社することができます。

したがって新入社員などと異なり、仕事を一から覚える必要がなく即戦力として働くことができます。新しい仕事は慣れるまでストレスを感じるものですが、出戻り転職はそうしたストレスがなくスムーズに仕事ができる可能性が高いです。

また会社としても出戻り転職だと即戦力として期待できるため、プロジェクトなどに即座に配属されます。トレーニングなどもそれほど多くないため、通常業務をすぐに始めることができるという点もメリットです。

出戻り転職のメリット#2:
以前働いていた職場なので、大きな認知ギャップは生じづらい

出戻り転職の一つのメリットは、以前働いていた職場なので、大きな認知ギャップは生じづらいという点です。以前の勤務経験があるため、職場の文化や業務内容に迅速に適応できます。

これにより新しい環境に馴染むための時間とエネルギーが節約されます。

転職して失敗する理由の一つに、求人票や聞いていた話と転職先の実態が大きく異なっていたというのはよくあります。

しかし、出戻り転職の場合は以前実際に働いていた職場に転職することとなるため、「転職先が想像と違った」という問題は起こりづらい傾向にあります。

また、過去に同じ職場で働いたことがあると、既存の同僚や上司との関係構築もスムーズに進む傾向があります。これは、新しい職場での人間関係の構築におけるストレスを軽減する効果があります。

ただし、人間関係や環境は離職期間が長いと変化している可能性がある点に注意が必要です。

出戻り転職のメリット#3:
他社での経験を有効に活かすことができる

他社での経験を有効に活かすことができるというのも、出戻り転職のメリットです。

出戻り転職は「仕事を一から覚える必要がなく即戦力として働くことができる」と述べましたが、これに加えて他社で働いて学んだことを自社に活かせるという点もメリットです。

ずっと同じ会社で働いていると視野が狭くなり仕事における改善点などが見えづらくなってきますが、一度転職して新しい環境に身を置くことで出戻り転職したとしてもより効率的に仕事ができるようになるなど多くのメリットを享受できます。

出戻り転職で失敗する・後悔する人の特徴を解説

出戻り転職で失敗する・後悔する人の特徴を解説します。

出戻り転職で失敗する・後悔する人の特徴#1:
前職で転職する際に揉めたりトラブルが起きた

出戻り転職で失敗する人の一つの特徴は、前職を離れる際にトラブルや対立があったことです。

このような過去の問題が残っていると、再就職後にもその影響が及びやすくなります。

また、過去の対立や問題が原因で、職場の同僚や上司から信頼を失っている場合もあります。出戻り転職したとしてもまたトラブルを起こすのではないかと疑念を持たれてしまい、職場の人間関係が良好になりづらいことがあります。

出戻り転職で失敗する・後悔する人の特徴#2:
過去の実績に依存しすぎる

出戻り転職で失敗する・後悔する人の特徴として、過去の実績に依存しすぎるという点も挙げられます。

以前の職場での成功体験があるとそれに固執し、変化する環境や要求に柔軟に対応できなくなることがあります。この固定観念は、現在の職場のニーズと合わない可能性があります。

以前在籍していた時の実績に依存し、職場の空気感が既に変わっていることに気づかず横柄な態度を取っていると、周囲の人に疎まれるなどして出戻り転職で失敗する・後悔することに繋がりやすいです。

また、過去の実績に頼ることで、新しいスキルや知識の学習に消極的になる傾向もあります。これにより、出戻り転職者は現在の業務要件に適応するのが難しくなり、職場で貢献ができなくなることがあります。

出戻り転職で失敗する・後悔する人の特徴#3:
以前と同じ環境を期待する

以前と同じ環境を期待するというのも、出戻り転職で失敗する・後悔する人の特徴の1つです。

離職期間が長期間にわたる場合、時間の経過と共に企業の文化やチームの構成、業務プロセスが変化するものですが、これらの変化を認識せず、過去の状況を期待すると変化への適応が難しくなります。

また、以前と同じ職場でも、人員の入れ替わりや経営方針の変更により、全く異なる職場文化が形成されていることもあります。このような変化を受け入れずに古い方法や考え方に固執すると出戻り転職者は孤立する可能性があります。

特に出戻り転職者は古い考えに固執していると、周囲の反発を招きやすい傾向にあります。出戻りで転職する場合は職場の雰囲気が少なからず変わっていることに対して謙虚な気持ちで接することが必要です。

出戻り転職で成功する人の特徴を解説

出戻り転職で成功する人の特徴を解説します。出戻り転職を成功させるためには下記の様な事を意識することが重要です。

出戻り転職で成功する人の特徴#1:
前職をトラブルなく退職している

出戻り転職で成功する重要な要素の一つは、前職をトラブルなく退職していることです。

前職を円満に退職している場合、出戻り社員に対して悪いイメージが持たれづらく、歓迎される傾向にあります。

トラブルなく退職するためには、繁忙期を避けて計画的な時期に退職することが重要です。繁忙期に退職してしまうと残る社員に負担がより、恨みを買いやすくなります。同様に、辞める日まで仕事をする姿勢を見せることも重要です。

出戻り転職で成功する人の特徴#2:
以前の会社での貢献度が高い・会社から出戻り転職を熱望されている

以前の会社での貢献度が高いことも、出戻り転職で成功する人の特徴の一つです。

以前の会社で高い実績を誇りながら惜しまれつつ退職したような場合は、出戻り転職で戻ってくることに対して期待感を強く感じる傾向にあり、結果として社員から歓迎される可能性が高まります。

そうした貢献度の高さによって会社から出戻り転職を熱望されていることも出戻り転職で成功する人の特徴の1つです。

例えば上司や同僚に「戻ってきてほしい」と言われたうえで出戻り転職する場合は、待遇が良くやりやすい環境で仕事ができる可能性が高まります。

それだけでなく、周囲の社員に対しても「この社員は実力がある」ということを示すサインにもなり、職場で疎まれたり出戻り転職に対して悪口を言われることが少なくなります。

出戻り転職で成功する人の特徴#3:
出戻り転職先の社員と人間関係が良好である

出戻り転職で成功を収めるためには、以前の職場で築いた良好な人間関係が大きな役割を果たします。

元同僚や上司との良好な関係性を築いていれば、出戻り転職した際もスムーズに仕事に移りやすいだけでなく気まずさも感じづらくなります。

また前職の人と交流があると、実力がある場合は前職への復帰を熱望されたり、出戻り転職の際に戻りやすい環境を作ってくれるということもあります。

出戻り転職でスムーズに仕事をするためには、出戻り転職先の社員と人間関係が良好であることが非常に重要です。

出戻り転職で成功する人の特徴#4:
出戻り転職先の悪口を言わない

前職の悪口を言わないことも出戻り転職で成功する人の特徴の1つです。

前職の悪口を吹聴していると、どこかから前職の人にその悪口が漏れてしまう可能性があります。前職の悪口を言っている社員がいざ出戻り転職するとなると、そのことに対して「悪口を言っていたのに」と悪印象を抱く社員も少なくありません。

また出戻り転職する際の選考で「なぜ前回は転職したのか」と当然聞かれることになります。そのような場合に「不満があったので転職した」という様に不満や悪口を退職理由として伝えてしまうと、面接担当者は悪印象を抱くだけではなく再度そうした不満を理由に転職するのではないかと疑念を持たれます。

出戻り転職を成功させるためには元居た会社との良好な関係は大前提となります。そのような前提を構築するためには、前職の悪口を言わないことが非常に重要です。

出戻り転職で成功する人の特徴#5:
会社が変化していることを認識している・謙虚な姿勢を持っている

会社が変化していることを認識している・謙虚な姿勢を持っていることは、出戻り転職で成功する人の特徴の1つです。

ここまで述べてきた通り、出戻り転職で元居た会社に戻るといえども離職期間が長いと職場の雰囲気は大きく変わっている可能性が高いです。そのような中で変化を嫌い昔のやり方に固執すると、ほかの社員から疎まれてしまいます。

この様なことを避けるため、謙虚な姿勢を持っておくことが重要です。いくら年次が高くても、自分が離職している間も会社にいた社員の方が会社を認識しています。

そのような社員が言うことや社風の変化に対して謙虚な姿勢を持つことで変化に適応しやすくなるだけでなく、周りの社員からも良い感情を持たれやすくなります。