塩野義製薬はやばい？闇？将来性がない？評判を解説

インターネット上で、塩野義製薬は「やばい」という評判が散見されますが、実際に塩野義製薬は「やばい」のでしょうか。

そもそもどのような点で「やばい」と言われているか、またその「やばい」という評判は正しいのか、塩野義製薬社員へのインタビューを参考にしながら徹底解説いたします。

塩野義製薬はどんな会社？

塩野義製薬は売上高では大手製薬メーカーです。抗HIV薬などのロイヤリティ収入が売り上げの4割近くを稼ぎ出しており、営業利益率は業界でもトップクラスです。

国内の医薬品としては抗うつ薬のサインバルタや多動性障害 や高血圧の治療に用いられるインチュニブ等の薬品が主力となっています。自社創薬比率が73%（一般的には20-30%）にも上る創薬能力も強みの一つです。

塩野義製薬はなぜ「やばい」「闇」と言われるのか？

日本を代表する製薬企業の塩野義製薬ですが、Googleで「塩野義製薬」と検索すると関連キーワードに「やばい」「というネガティブなワードがあります。

塩野義製薬への就職や転職を検討している方の中でも、この検索結果を見て尻込みしてしまったり、不安になってしまった方も少なくないのではないでしょうか。

以降では、ネット上で「やばい」と言われる理由について、実態を解説していきます。

塩野義製薬が「やばい」と言われる理由①:
主力製品のライセンスが切れると将来性が無いといわれているため

塩野義製薬がやばいと言われる理由の1つ目が、主力製品のライセンスが切れると将来性が無いといわれているためです。

年度	売上高	営業利益
2020年3月期	3,333億円	1,306億円
2021年3月期	2,972億円	1,174億円
2022年3月期	3,351億円	1,103億円
2023年3月期	4,267億円	1,490億円
2024年3月期	4,101億円	1,533億円

塩野義製薬における売上の4割が抗HIV薬のロイヤリティです。この抗HIV薬は2028年に特許切れとなるため、以降はロイヤリティフィーを稼ぐことができなくなり、収益が激減するため将来性が無いといわれている模様です。

塩野義製薬はこれを「パテントクリフ2028～」（パテントクリフは特許切れという意味）と位置付けており、特許が切れた後でも継続して成長できるようなパイプラインの養成を目指しています。

塩野義製薬は抗感染症薬に強みを持っており、抗コロナウイルス薬のゾコーバを開発したり、コロナワクチンの開発を進める等、さらなる収益の柱を育成しています。

こうした創薬能力を生かして、自社医薬品をもとに抗HIV薬の特許が切れた後でも引き続き収益を出すことが期待されています。

塩野義製薬が「やばい」と言われる理由②:
業績が読みづらいため

塩野義製薬がやばいと言われる理由の2つ目が、業績が読みづらいためです。

年度	売上高	営業利益
2020年3月期	3,333億円	1,306億円
2021年3月期	2,972億円	1,174億円
2022年3月期	3,351億円	1,103億円
2023年3月期	4,267億円	1,490億円
2024年3月期	4,101億円	1,533億円

塩野義製薬だけではなく製薬会社全般に言えることですが、業績が読みづらくなっています。

2021年3月期は新型コロナウイルス感染拡大による市中診断の減少に伴う需要抑制や薬価の引き上げにより業績が悪化しました。一方で、2023年3月期は抗コロナウイルス薬のゾコーバが好調なこともあり、創業来最高の業績を記録しました。

今後も抗コロナウイルス薬のゾコーバの流通に伴い業績が大きく成長する模様です。

製薬会社はいかに良い医薬品を開発できるか、またその薬価が下がらないかが重要であり、業績が読みづらいという点で塩野義製薬は「やばい」と言われます。

一方でこうしたリスクは製薬業界一般に言えることで、逆に需要のある薬を開発できた場合は収益が大きく跳ねる可能性があるというのも特徴です。

塩野義製薬が「やばい」と言われる理由③:
年収が下がっており、住宅手当も廃止されたため

塩野義製薬は年収が高いためにやばいといわれることがあります。

塩野義製薬は有価証券報告書で平均年収を公開しており、推移は下記の通りです。塩野義製薬における2022年度の平均年収は911万円（平均年齢: 42.1歳）となっています。

塩野義製薬では2021年に業績が下がったことを受けて2022年3月期に年収が大きく下がっています。

また、住宅手当も廃止された模様ですが、2023年3月期以降は好調な業績も相まって平均年収は900万円台の水準に戻り、依然として高水準を維持しています。

年度	平均年収	平均年齢
2024年3月期	964万円	40.9歳
2023年3月期	911万円	42.1歳
2022年3月期	857万円	41.6歳
2021年3月期	903万円	41.2歳
2020年3月期	943万円	41.3歳
2019年3月期	904万円	41.7歳
2018年3月期	540万円	39.2歳

国税庁が開示している日本人の平均年収が461万円であることから、塩野義製薬の平均年収は日本人全体の平均よりも有意に高いと言えます。

また、マイナビエージェントが公表している業種別平均年収ランキングによると、医薬品メーカーの平均年収は565万円となっており、塩野義製薬の平均年収は医薬品メーカー全体の平均年収よりも高い水準になっています。

中途で塩野義製薬に転職した場合の年収は？

中途で塩野義製薬に転職したいと思っている場合、「自分の年収がどれくらいになるか」というのは誰しもが気になることだと思います。

塩野義製薬が「やばい」と言われる理由④:
不祥事があったと噂されるため

塩野義製薬がやばいと言われる理由として不祥事があったと噂されるためです。具体的に言えばHIVの治療薬開発を巡り、大阪国税局から約400億円の申告漏れを指摘されていました。

塩野義製薬はこれに対して訴訟で勝訴となり、課税取り消し処分となっています。裁判所が訴えを認めたため、塩野義製薬に非はなく、不祥事でもありません。

塩野義製薬が「やばい」と言われる理由⑤:
ホワイト企業でパワハラもない非常に働きやすい環境なため

塩野義製薬はホワイト企業でパワハラもない非常に働きやすい環境と言われています。これに関してはネガティブな意味合いの「やばい」ではなくポジティブな意味での「やばい」です。

タレントスクエア独自の調査によれば18.8時間となっています。競合の武田薬品や、アステラス製薬と比較しても短い水準です。

社員の口コミを見ても、塩野義製薬は労働時間が短くプライベートとの調整もしやすいホワイト企業であると評判になっています。

塩野義製薬が「やばい」と言われる理由⑥:
早期退職・リストラがあるため

塩野義製薬は早期退職・リストラがあったため「やばい」と言われることがあります。

塩野義製薬は2023年5月、20年ぶりに200人程度（単体社員数の8%）の早期退職者を募集すると発表しました。

塩野義製薬は10日、200人程度の早期退職希望者を募ると発表した。単体社員数の8%にあたる。塩野義は2023年3月期が最高益で、24年3月期も英製薬会社からの配当は減るものの業績は好調を維持する見通し。ワクチン事業への参入やグローバル化の推進など事業の変革を進めるため、「人材ポートフォリオの見直しを加速する」としている。

24年3月31日時点で50歳以上かつ勤続年数5年以上の社員が対象で、一部の幹部職などは除く。募集期間は23年8月1日から9月20日までの予定で、退職日は10月31日とする。

通常の退職金に特別転身支援金を加算して支給するほか、希望者には再就職支援サービスを提供する。特別支援金の額などは開示していない。早期退職の募集でかかる費用については23年7〜9月期に計上する。早期退職を実施するのは、医薬品以外の事業からの撤退を進めた02〜03年以来で約20年ぶりとなる。

塩野義は23年6月、感染症向け医薬品を中心とするグローバル展開の加速や、ワクチンといった新規事業の確立などを柱とする中期経営計画を公表した。手代木功会長兼社長は「本社のグローバル化を真剣に議論し、なるべく早く組織改革も進める」と話していた。

塩野義は近く新しい人事制度を導入する予定だ。20代でも課長級に抜てきできるようにするなど、年功序列を脱却して成果に報いる。新人事制度で若手を含む従業員の挑戦意欲を引き出しつつ、50代以上を対象とする早期退職の募集で人材の新陳代謝を進める考えとみられる。

塩野義製薬、好業績でも早期退職を募集 20年ぶり

こうした戦略は更なる企業成長のために新陳代謝などを通じた利益最大化のために行われるもので、企業戦略としては致し方ない部分もあります。こうした退職制度は塩野義製薬が「やばい」ために行われるわけではないという点は認識すべきです。

【中途採用】塩野義製薬の転職難易度は？

塩野義製薬は年収の高さや成長機会の豊富さ、その後のキャリアパスの広がりなどから転職市場で非常に高い人気があります。

一方で、近年では中途採用を積極的に行っており、20代や第二新卒での転職実績も出ているため、正しい選考対策を行うことで十分転職可能だと言えます。