「薬剤師として転職するのは厳しい」と言われることが多くなっています。本ページでは「本当に薬剤師の転職は厳しいのか」、実態や転職成功の秘訣について徹底解説します。
薬剤師転職におすすめの転職サイトは下記の記事でまとめているので、詳しく知りたい方はあわせてご覧ください。

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薬剤師の転職は厳しい?有効求人倍率の推移を紹介
以前は「薬剤師の資格があれば職には困らない」と言われることもありましたが、現在は薬剤師であるからといって必ずしも良い職に就けたり、転職できる訳ではありません。
実際に厚生労働省が発表している薬剤師の有効求人倍率を見てみると、薬剤師における有効求人倍率は大きく下落しています。
時点 | 有効求人倍率 |
---|---|
2019年12月 | 3.73倍 |
2020年12月 | 2.05倍 |
2021年12月 | 1.98倍 |
2022年12月 | 2.32倍 |
2023年12月 | 2.43倍 |
2019年12月には3.73倍だった薬剤師の有効求人倍率が2021年には2倍まで下落しました。そこから持ち直してはいるものの、引き続き有効求人倍率は2.43倍となっており、以前と比較すると薬剤師の転職は難しくなったと言えます。
とはいえ、全職業における有効求人倍率は1.27倍(2023年12月時点)となっており、他の職業と比較すると十分に有効求人倍率が高く、職に就きやすいというのも事実です。
従って「薬剤師の転職は厳しい」というのは他の職種と比較して「厳しい」わけではなく、以前と比較すると「厳しい」状況にあると言うことができます。
薬剤師として転職はできない?薬剤師の転職は厳しいと言われる理由
ここまで薬剤師の転職が厳しくなっているという事実を、厚生労働省の発表している有効求人倍率をベースにご説明してきました。ここでは薬剤師の転職は厳しいと言われる理由についてご説明します。
- 薬剤師資格の保有者が増加しているため
- 調剤薬局とドラッグストアの併設で薬剤師の需要が低下したため
- 特に新型コロナウィルス流行期は大幅に薬剤師の求人が減少したため
薬剤師の転職は厳しいと言われる理由#1:
薬剤師資格の保有者が増加しているため
薬剤師の転職は厳しいと言われる理由として、薬剤師資格の保有者が増加しているという理由が挙げられます。
下記は厚生労働省が発表している薬剤師人数の推移です。
年度 | 薬剤師の人数 |
---|---|
2012年 | 28.0万人 |
2014年 | 28.8万人 |
2016年 | 30.1万人 |
2018年 | 31.1万人 |
2020年 | 32.2万人 |
薬剤師の人数は年々増加しており、2012年と比較すると4万人(15%)も増加しています。人口10万人あたりの人数も2018年と比較して9人も増加するなど、薬剤師の人数が大幅に増えてきていることが分かります。
薬剤師の人数が増えるとそれだけ競争が激しくなります。薬剤師の人数が増えて供給過多となっていることが薬剤師における転職は厳しいと言われる背景です。
薬剤師の転職は厳しいと言われる理由#2:
調剤薬局とドラッグストアの併設で薬剤師の需要が低下したため
調剤薬局とドラッグストアの併設で薬剤師の需要が低下したという点も理由として挙げられます。
以前は調剤薬局とドラッグストアは分かれていましたが、現在はドラッグストア内に調剤薬局を併設する調剤薬局併設型ドラッグストアが増加しています。
種類 | 詳細 |
---|---|
調剤薬局 | 病院や診療所などの医師の診断を経て処方箋にて指示された薬を、処方箋の指示に基づいて調剤して薬として受け渡す薬局のこと |
ドラッグストア | 医薬品をはじめ医薬部外品・化粧品・日用雑貨・飲料などを販売する小売店のこと |
実態として薬局全体の数自体は増えてきていますが、2012年と比較して薬局数の増加率は9%程度に留まっています。
薬剤師の人数が15%増えているのに対して薬局数の増加が追い付いていないことから、薬剤師の需要が相対的に減少して有効求人倍率が下落しています。
薬剤師の転職は厳しいと言われる理由#3:
特に新型コロナウィルス流行期は大幅に薬剤師の求人が減少したため
特に新型コロナウィルス流行期は大幅に薬剤師の求人が減少したという点も、薬剤師の転職は厳しいと言われる理由の1つです。
有効求人倍率を見てみると、2019年12月は3.73倍だった有効求人倍率が2020年、2021年に2倍程度まで下落しています。
年度 | 有効求人倍率 |
---|---|
2019年12月 | 3.73倍 |
2020年12月 | 2.05倍 |
2021年12月 | 1.98倍 |
2022年12月 | 2.32倍 |
2023年12月 | 2.43倍 |
新型コロナウィルスの流行期は、感染症への感染を恐れて薬局に行く人数が大幅に減少したり自粛ムードの高まりで薬局への来客数が大幅に減少しました。
これによって薬局の経営が悪化して新規に人を雇う余裕がなくなってしまい、結果として薬剤師の転職は厳しいと言われるに至りました。
現在は新型コロナウィルスの影響が軽減され、有効求人倍率が回復している通り新型コロナウィルス流行期と比較すると薬剤師の転職はしやすい環境にあります。
転職が厳しい薬剤師の特徴を解説
ここまで薬剤師の転職は厳しいと言われる理由についてご説明してきましたが、こうした環境の中で転職しにくいと言われる薬剤師の特徴についてご説明します。
- 転職を繰り返している
- 薬剤師の資格を持っているだけで他にアピールできる点がない
- 待遇や労働環境など求人条件にこだわり過ぎる
- 自力で転職活動を行おうとしている
転職が厳しい薬剤師の特徴#1:
転職を繰り返している
転職回数が多すぎる場合、薬剤師として転職しづらい可能性があります。
現代において数回程度の転職は珍しいことではありませんが、半年程度で職場を転々としている様な状況・職歴の場合は、「入社しても定着しないのではないか」と懸念されて転職しづらくなる可能性があります。
- 入社してもすぐにやめてしまうのではないか
- 経験が不足していてスキルが足りないのではないか
- 研修や教育を行っても意味がないのではないか
- 忍耐力がないのではないか
既に転職回数が多いなかで転職を検討している場合、次の職場ですぐに辞める心配はないことを論理的にアピールする必要があります。特に志望動機の作り込みや職務経歴書をしっかりと書くことが重要です。
転職が厳しい薬剤師の特徴#2:
薬剤師の資格を持っているだけで他にアピールできる点がない
薬剤師の資格を持っているだけで他にアピールできる点がないという点も、転職が厳しい薬剤師の特徴の1つです。
薬剤師の求人において、薬剤師の資格を持っていることは前提でありアピールポイントになりません。薬剤師の資格を持っているだけで他にアピールできるポイントがないと、他の薬剤師と競争になった際に選考に落ちてしまいます。
薬剤師資格の他にアピールできるポイントとしては、薬剤師の経験年数や調剤経験といった経験・スキルのほか、車の免許を持っていたり「管理薬剤師」や「専門薬剤師」などの資格を有しているという点が挙げられます。
他にもコミュニケーション能力であったり、販売業務などもスキルとしてアピールできるポイントです。他の薬剤師と競争になった際にアピールできる様、薬剤師の資格を持っている以外の強みについて自己分析を行うことが重要です。
転職が厳しい薬剤師の特徴#3:
待遇や労働環境・パートなど求人条件にこだわり過ぎる
待遇や労働環境など求人条件にこだわり過ぎるのも、転職が厳しい薬剤師の特徴の1つです。
確かに転職の際に自分の希望する条件を明確にすることは重要です。しかしながら、求人に求める条件が多すぎると自分の希望を満たす求人に出会える可能性が低くなります。
- 年収が高い(時給が高い)
- 正社員である
- 労働時間が短い
- 福利厚生が充実している
- 都内(23区)の職場である
また自分の希望を全て満たすような好条件の求人は、他の薬剤師にとっても魅力的である可能性が高く倍率も高くなりがちです。こうした好条件の仕事に就くためには薬剤師であるというだけでなくプラスアルファのスキルや経験が必要となります。
こうした好条件の求人ばかりの選考を受けていると、自分のスキルや経験が足りない場合は特に転職が厳しくなってしまいます。
好条件を目指すこと自体は悪いことではないありません。しかしながら、条件にこだわりすぎて転職がうまくいかないと感じる場合は条件を緩めたり、優先順位をつけることが重要です。
転職が厳しい薬剤師の特徴#4:
自力で転職活動を行おうとしている
自力で転職活動を行おうとしているというのも、転職が厳しい薬剤師における特徴の1つです。
転職活動では面接のスケジュール調整や職務経歴書の作成・面接対策で大幅に時間と労力を取られてしまいます。転職活動を1人でこなそうとするとキャパオーバーに陥ってしまったり、対策が結果的に不十分となってしまって選考に落ちてしまう可能性があります。
それだけでなく求人企業の内情を事前に理解することができないため、せっかく転職できたとしても転職先企業と合わずに退職してしまう・トラブルに巻き込まれてしまう可能性があります。
この様に転職活動を自力で行うと自身にとって大きな負担がかかってしまうだけでなく、転職先企業とのミスマッチも生じやすいなどリスクが大きいというのが実態です。
薬剤師として転職成功の可能性を上げるためにやるべきこと
ここまで「薬剤師の転職は厳しい」と言われる理由や転職が厳しい薬剤師の特徴を解説してきました。ここでは薬剤師としての転職成功の可能性を上げるためにやるべきことについてご紹介します。
上げるためにやるべきこと
- 管理薬剤師や専門薬剤師になってできることの幅を広げる
- 求める求人条件に優先順位をつける
- 転職サイトを活用する
薬剤師として転職成功の可能性を上げるためにやるべきこと#1:
管理薬剤師や専門薬剤師になってできることの幅を広げる
薬剤師として転職成功の可能性を上げるためにやるべきこととして、管理薬剤師や専門薬剤師になってできることの幅を広げるということが挙げられます。
管理薬剤師や専門薬剤師となれれば、他の薬剤師と比べて転職活動において優位に立つことができます。
種類 | 詳細 |
---|---|
管理薬剤師 | ・調剤薬局の店舗や、薬剤部の管理・運営を担う責任あるポスト ・原則として、薬局における5年以上の実務経験があり、中立的かつ公共性のある団体(公益社団法人薬剤師認定制度認証機構など)の認証を受けた認定薬剤師であることが求められる |
専門薬剤師 | ・薬剤師の基盤となる調剤などの基本業務のほか患者さんの薬学的管理を行う知識や能力を持ち、患者さんや他の医療チームの職種ともコミュニケーションを取ることができるジェネラリスト ・各領域の認定薬剤師が実務経験を重ね、学会や論文発表、症例報告、専門領域での薬物療法に関する研修などを経たのち、取得できる |
認定薬剤師 | ・「自己研鑽により資質向上努力を継続している薬剤師」として、有効期限を設けた証明を受けた薬剤師のこ ・「日本病院薬剤師会」・「日本薬剤師研修センター」の「研修認定薬剤師」や、「研修認定薬剤師」を取得した上で認定試験に合格して取得 |
こうした資格や肩書を得ていれば薬剤師としての能力を示すことができるだけでなく、薬剤師として向上心があるという点もアピールできます。
薬剤師として好条件の求人に転職するためには、こうした資格や認定を受けるよう努力することが重要です。
薬剤師として転職成功の可能性を上げるためにやるべきこと#2:
求める求人条件に優先順位をつける
求める求人条件に優先順位をつけることも、薬剤師としての転職成功可能性を上げるためにやるべきことの1つです。
転職活動において求める求人条件が多すぎると、転職先企業の候補が絞られる上に競争が激しく転職しづらいと説明しました。
そのため求める求人条件に優先順位をつけることが重要です。求人において求める条件には下記の様なものがあります。
条件を「譲れない条件」「あったほうが良い条件」「なくても良い条件」と順位付けして探すことで求人の幅が広がり、転職できる可能性が高まります。
- 年収が高い(時給が高い)
- 正社員である
- 労働時間が短い
- 福利厚生が充実している
- 都内(23区)の職場である
薬剤師の転職を成功させるためには転職サイトの活用がおすすめ
薬剤師としての転職成功可能性を上げるためにやるべきこととして、転職サイトを活用するということも挙げられます。
転職サイトを活用することで煩雑な手続きを代行してもらえたり、多くの求人を提案してもらえる、企業や職場の内情を教えてくれるなどの様々なメリットがあります。
活用した場合のメリット
- 日程調整などの煩雑な手続きを行ってくれる
- 書類の添削や面接対策を行ってくれる
- 非公開求人を教えてくれる・様々な求人を見ることができる
- 企業や勤務先の内情を教えてくれる
- 内定時の条件交渉を行ってくれる
- これらのサービスを完全無料で活用できる
薬剤師として転職するうえで、多くの薬剤師が転職サイトを活用しています。その様な中で自分だけ転職サイトを活用せずに転職活動を行うのは不利に繋がります。
薬剤師の転職で「薬剤師専門でない転職サイトは選ぶな」と言われるのはなぜ?
薬剤師の転職において転職サイトの活用は様々なメリットがあります。
- 日程調整などの煩雑な手続きを行ってくれる
- 書類の添削や面接対策を行ってくれる
- 非公開求人を教えてくれる・様々な求人を見ることができる
- 企業や勤務先の内情を教えてくれる
- 内定時の条件交渉を行ってくれる
- これらのサービスを完全無料で活用できる
一方で「転職サイトなら何でも良い」という訳ではありません。特に、薬剤師の転職においては「薬剤師専門でない転職サイトは選ぶな」と言われることがあります。
- 薬剤師の求人数が少ない・無いため
- キャリアアドバイザーの知識がないため
- 転職先が決まる確率が低く、後回しにされたり支援を断られるため
参考: 【薬剤師】こんな転職サイトは選ぶな!転職サイトが不要な人の特徴も

「こんな転職サイトは選ぶな」と言われる薬剤師転職サイトの特徴は?
薬剤師専門の転職サイトなら何でも良いわけではありません。例えば下記の様な特徴を持つ転職サイトは活用を避けた方が良いと言えます。
- 求人数が少ない
- 実績がない
- キャリアアドバイザーとの相性に違和感を感じる